妊娠したくない

『結婚して3年目、二十代後半です。主人は子どもが欲しいと言いますが、私は、子どもが子どもを産んでどうするんだ、と思うので、まだ妊娠したくありません。それに、もう少し仕事の方も実績を残しておいた方が、子供を産んでも、産休明けに仕事を再開するときに有利ですし、何より、主人と二人きりの今の生活が気に入っていて、もう少し楽しんで、いい想い出をたくさん作っておきたいのです。赤ちゃんが産まれれば、自分の楽しみは犠牲にして、なりふり構わず子育てをすることになるでしょうし、とても大変そうなので、自分に出来るかどうか自信がない、というのもあります。子どもですから。もう少し先、三十代になってからゆっくり、赤ちゃんを産もうと思います。今は医療も進歩しているし、栄養状態も昔と較べると良くなっているから、三十代前半なら、高齢出産にはならない、と聞きました。三十代前半なら妊娠、出産に支障はないと思っていますが、どうでしょうか』

ダンナさんと、とても仲が良くていらっしゃるんですね、ホホホ、ごちそうさま。

仕事は脂がのってきて楽しいし、私生活でも、二人きりの身軽な暮らしが気に入っていて、もう少しこのまま楽しみたい、と。そうですね〜。そこに、お二人の赤ちゃんが、かわいい赤ちゃんが加わるのは、そんなに悪くないんじゃないかと思いますけどね〜。

「自分の楽しみは犠牲にしてなりふり構わず子育て」と言っても、そんなふうに感じていないお母さんだって、たくさんいますよ。最優先事項が「自分のこと」じゃなくて「赤ちゃんのこと」になるなんて、考えようによっては、赤ちゃんがいなければ経験出来なかった「自分より誰かの方が優先」状態ですからね。それって、かなり「おとな」ではありませんか?えっへん。

ご自分のことを、子どもだとおっしゃいますが、じゃあ、いつになったら、どうなったら「おとな」になるんでしょう?

少なくとも、ダンナさんと二人きりの生活を、支障なく切り回していらっしゃるようですから、じゅうぶんおとなではないですかー、ご立派ですよ。

親になるには覚悟がいることは確かですよね。でもまぁ、文字通り、案ずるより産むが易し、ですよ。

気になるのは、あなたが、「いつでも、自分の気に入った時期を選んで妊娠して、子どもを持つことが出来る」と思っていて、それを前提に考えていらっしゃることです。

そんなことはありませんよ。

命が、どうして生まれるのか、人間はまだ知りません。科学や医学で、命が生まれるのをコントロール出来るような気がしているなら、それは錯覚ですよ。かろうじて、望まない妊娠を避けることが出来るようにはなった、とは言っても、100%確実な避妊方法は未だにありません。

逆に、医学の力で、妊娠を望むすべての人に命が生まれるように導くことも出来ません。どんなに医学が発展しても、出来るようにはならないだろうと思います。

あなたが、今のところは、望まない妊娠を避けることに成功しているとしても、この先もずっとそうであるとは限りませんし、将来、いよいよ赤ちゃんが欲しい、と思ったときに、思い通りに赤ちゃんがやってくるとも限りませんよ。

そういうことです。