電気が足りなくなるのは困るから、原発を再稼働すべき?

『私は今まで、原子力発電所というものがこんなに恐ろしいものだと知りませんでした。二度と原発が事故を起こさないように、電気が足りなくてもがまんして、すべての原発を止めた方がいいと思います。ところが夫は、原発を止めると電気が足りなくなって、家庭の停電はがまんできても仕事が出来なくなる、病院が停電になると患者が死ぬ、だから原発は動かさなければダメだ、必要悪なんだと言います。どうしてそう考えるのかわからないし、離婚したいぐらいです』

離婚はちょっと待った~!早まらないで(´・д・)ノ

あなたは、電気が足りなくなって停電になるようなことがあってもガマンするから、二度と原発事故が起きないように原発は止めてしまった方がいい、と考えているんですね。

だんなさんは、電力を大量に使う職場でお仕事なさってるんでしょうか。それで、仕事が出来なくなるよ、とおっしゃるんですね、きっと。じっさいには電力不足は起きないから、病院は大丈夫。


電力が不足するというのは脅しだった

2012年の夏を越えてみたら、なんのことはない、電力不足は起きませんでした。暑い夏だったのにね。

夏場の電力需給

個人や企業が節電に協力したから電力不足にならなかった、という理由もあります。

注目したいのは、そもそも電力が不足する事態にならないように、電力会社各社が火力発電所を増やしたり、休眠させていた水力発電所を再稼働させたりの対策をちゃんと取ってくれていたことです。

だから、電力会社自身は、猛暑の夏になっても電力不足は起こらないことがわかっていただろうと思われます。

それなのに、電力不足になるよ、と国民を脅していた、ということになります。


なぜ国民を脅すのか?

それでは、なぜ国民に「電力不足になる」とウソをついたのでしょう。

原発を再稼働させるためですね。

大飯原発は、夏場の電力不足を乗り切るため、という理屈をつけて再稼働されましたが、夏が過ぎても再停止される動きは、今のところ出てきていません。

いったいどういうことでしょう。


原発は電力不足だから再稼働されるわけではない

まとめると、原発が再稼働されることと、電力不足は関係ありません。

電力不足になるから原発を再稼働しなくてはならない、というのはウソだったのです。

それでは、なぜ電力会社は原発を再稼働させたいのでしょうか。

電力会社だけではなく、政治家にも、どうしても原発を再稼働させたくてしかたがないように見える人がたくさんいます。

経団連あたりは、国民の生活を守るために再稼働を、と言い始めました。なにか怪しくないですか?

国民の生活を守るというなら、原発事故によって帰る場所をなくして難民状態に陥っている人たちを一刻も早く救済することと、そのために事故の責任の所在をあきらかにして、企業が社会的責任を果たせるように力を貸すのが、電力の恩恵をこうむってきた経団連の責任じゃないんでしょうか。


原発事故はまだ終わっていない

福島の原発事故は、まだ収束していません。大きな余震がくれば、より深刻な事故を起こす危険があります。

そうなれば、東京をはじめとする関東地方、宮城県や山形県、新潟県にも人が住めなくなってしまうことだって考えられます。

興味のある人は、内閣府の近藤駿介原子力委員長が2011年の3月25日に菅前首相に提出した報告書をご覧ください。

近藤駿介原子力委員長による報告書

原発をやめない、という選択をするなら、そういう危険があるということを承知の上での選択であるべきだと思います。

事故が起きてしまってから「知らなかった」と言っても遅いのですから。

知らなかった人には、これからでもいいから原発が危険なものなのか、そうでもないのか、調べて自分で考えてみてほしいです。

仕事ができなくなる、なくなる、と心配されるお気持ちはわかりますが、それも命あってこそですよね。

テレビのニュース番組で聞いたことを鵜呑みにして、お人好しで物分かりのいい国民でいては、残念ながら子どもたちを守ることはできないと思います。